UP mini 2 ES の不可解な挙動集
数ヶ月前,UP mini 2 ESという3Dプリンタを買った.
しかし,うまく印刷できる確率が低い.あまりにお気持ちになったので書いてみる.
スライサーはUpStudio ver2.6.49.627.(※verについて後述)
温度
プラットフォーム
一般的にABSは80~110℃程度で印刷されることが多いように思う.現に,公式スライサーのABSのプリセット設定は90℃となっている.
しかし,よくよくスペックを探ると書いてあったのだが,プラットフォーム温度は70℃が上限のようである.実際の3Dプリンタも70℃あたりまでしか上昇しないので,つまり 目標温度に到達することはない のである. (印刷が進むと印刷物によって多少保温性がよくなるので温度は上がるかも)
公式フォームにもいくつかその話題がある.
プリヒート
プリヒート機能があるのだが,目標温度に到達するのでもなく,70℃に到達するのでもなくなぜか 60℃に到達したあたりで自動で印刷が開始 される.
公式フォームにもいくつかその話題がある.
- Bed only heating to 60C before starting - UP mini 2/mini 2 ES - Tiertime
- bed does not heating up over 65-66 degrees Celsius - Tiertime
表示
ノズル温度もプラットフォーム温度も,印刷前の加熱厨はセ氏温度が本体やスライサーのステータス部分に表示される.
しかし,印刷が始まると,なぜか 「目標温度に対する0℃からの到達率」が表示 される.
たとえばプラットフォーム温度を90℃に設定していて表示が90%のとき,それは81℃を示しているのだ.温度で%って意味ワカラン.
これで困ることとして,例えば社外品のフィラメントのパラメータを追い込んでいる際に「今どんな値だったっけ・・・」「設定した温度ちゃんと反映されているのかな」を確認する術が無い.呆れる.
温度対策
本体を毛布でおおうとプラットホーム温度はかなり上昇できるようだ.どうやら70℃というのは発熱量と筐体全体の放熱量のバランスから決まっている値らしい. とはいえ印刷が始まるまではプラットフォームを1時間プリヒートしてもなぜか60℃くらいまでにしかならない.
ところが,一度印刷してみるとどんどん温度は上昇する.90分ほど印刷させると85℃あたりまで到達する. つまりウォームアップは2時間ってことですか?
なお,内部の雰囲気温度はK型熱電対読みでプリヒート1時間で40℃程度,印刷開始後90分で55℃程度であった.電子部品類は頑張って動いてくれというところか.ヘッドから空気への放熱も結構あるのかな.
可能であれば,内部に断熱材を仕込む(筐体側をあまり高熱にしたくない),ビルドプレートの裏にコルクボードでも貼るあたりを試したいところ.ただ,プラットフォームはバネで押して爪で引っ掛けるみたいな構造になっているのであまり温度を上げすぎるのも考えものである.
なおそもそも印刷に問題がなければこのような温度対策もしないのだが,10cm x 10cm 程度のフットプリントの印刷をしようと思ったらなんdも剥がれ始めるので色々と対策をしてみている次第である.3cm程度なら問題ない. そもそも12cmってのが用途に対して小さかったというミス
印刷がずれる
個体差の可能性もあるが,プラットフォーム奥方向に印刷が2cmほど突然ずれる(=プラットフォームが手前に移動する際にずれる))ことが何度かあった.これが致命的に辛い.
毛布で保温しているので,通常使用では起きず高温時にのみ発生しやすいという可能性もある.
これもフォーラムにあり.
Grinding/shifting Y-axis - UP mini 2/mini 2 ES - Tiertime
- 大きいモデルを印刷しているという点は同じ.ファインモールド(速度Fast>Normal>Fineということか)にするとかベアリングにグリス足すとか.
どうやらスライサー2.5ならうまくいくという指摘.
別スライサは色々パラメータを設定できるらしい.
- このスレッド内にもやはり v2.6 とmini2の組み合わせで問題を指摘している人が. Tiertime's Next Gen Slicer - UP Studio 3 (Catfish) - Software - Tiertime
他小言
- スライサーあんまり使いやすくない
- 透視投影しかない,平行投影もほしい
- 出力ファイルが独自形式なのも気に食わない.(別スライサで対応するらしい?)
- 「LEDつけっぱなしボタン」説明書にはあった気がするが見当たらない
- プラットフォームの水平調整をソフトウェアでしか出来ないのも微妙.そんなに水平に自信あるのか??
- 印刷開始前に自動で位置キャリブレーションが入らないのは非常に不親切.前回の印刷時にどこかでずれが発生していた場合,それを引きずることになる.
- モーターがうるさい
いいこと
せっかくなのでいいことも書いておこう.
- 公式ABS・公式の印刷設定で出力したベンチマークの船(#3DBenchy)はめちゃくちゃキレイだった.本体もフィラメントも開封したて,ベッド高さ調整後の一発目でこのクオリティが出せるのは素晴らしい.
- 印刷物を見ても剛性不足感(変に光沢が波打つ感じ)は無い.音は騒がしいが,機械周りは優秀と思われる.ヘッド重そうなのによく動くわ.
総評
所詮ホビーユースか・・・という気持ちになってしまった(特にソフト周り).これが発売当初は14万とかマジ?