kdenologue

たまに何か作ります。

PC用液晶モニターの待機時のコイル鳴きをどうにかする

お家PCのサブモニタであるところの DELL P2416D。
ベゼルは少し太めだがWQHDでちょいと広いし色も十分に出る(6200K, sRGB 99%)で気に入ってる。

一点、待機時にコイル鳴きが聞こえる点を除けば。これをどうにかしたい。

そもそもなんで待機時に鳴くんだ!!!と思ったが、待機時ということは低消費電力であるので、間接的な原因は消費電力が低すぎることにある。
つまり、モニタの消費電力を増やしてやれば解決する。

というわけで、特に意味もなく電気を消費するブツをモニタ内蔵のUSBハブに挿したところ、待機時にも鳴らなくなった。めでたしめでたし。

なんでこんな音が鳴るのかというと、推測だがDC/DCの動作モードだろう。

DC/DCコンバーターはコイルに電気を流したり流さなかったりすることで、コイルにエネルギーを蓄えたり放出したりして電圧変換を行う。このスイッチングは高速で、普段は数100kHzとか数MHzで行われて、可聴域の外にある。

ただ、世の中省エネ志向で、コンセントに挿しっぱなしでも消費されるエネルギーは少ないことが求められる。そういう規制もあったりする。

EU ErP 指令 | Power Integrations - AC-DC Converters
(モニタがどこに該当するかは知らない)

なのでメーカーは低消費電流であってもできるだけ電圧の変換効率を良くする必要がある。ここで、通常動作のままだと効率が非常に悪くなるらしい。詳しくはTIの用語解説が良さそう。
www.tij.co.jp

そういわけで、メーカーはいろいろな消費電力のときでも効率の良い電源を設計するべく部品を選ぶ。以下の図は同じくTIのDC/DCコンバーターであるTPS62065のデータシートから抜粋。この型番にした意味は特にない。
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PWMモードだと消費電流が低いときの効率がダダ落ちになっている。一方、PFMモードだと効率が良いことがわかる。PFMモードは要はスイッチングする頻度を変えますよというモードなので、この時の周波数が可聴域に被ると、コイルの通電状態の変化が振動になって音となって聞こえてくる。(部品も電圧も何もかも違うので、このDCDCが音を出す動作をしているわけではないし、あくまで動作モードと効率の参考ということで。)

なのでモニタ内蔵のUSBハブというおそらくモニタ内部の電源を利用している部分に電流を引き出すようものをつなげてあげることで、待機中であっても動作モードが切り替わらず結果コイル鳴きも発生しない、という流れだ。消費電力は増えるけどな。

ちなみに以下はモニタの近くにマイクを持っていってFFTした時の様子。

動作時
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拡大
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2900Hz付近に若干山ができている。待機から復帰するとこの山は消えるし、波形生成ツールでこの周波数を鳴らしてみると感覚と一致するのでまあアタリだろう。

というわけで各社メーカー様においては鳴きにくいコイルを利用していただくなどお願いしたい。