HTC LINKを知ろう② 周辺機器分解編
前回記事から引き続き,HTC LINKで遊ぼうの回.
今回は,分解して遊んでいきたいと思います.元は3万円以上する製品ですからね,分解も楽しいものになるのではないでしょうか.
・・・今はAmazonで2500円だけど.
これは記事を書いていて後からようやく気づいたことだが,どうやら周辺機器一式は XCV01-CB
という位置トラッキングシステムというパッケージのようである.技術を取り込んできて載せたというよりも,位置トラッキングをセットで買ってきて後付けしている状態・・・ということだろうか.それなら前回載せた構成図のすっきり感にも納得がいく.
そんなスッキリとした図の中の点線部分のコントローラーとLEDドングル,カメラについて書いていく.
※工事設計認証を取得している製品を分解した後に電源を投入すると電波法違反となる可能性があります.万人に分解を勧めるものではありません.参考→電子工作における電波法・技適周りの現状把握(2020年4月) – Lang-ship
コントローラー
見た目はDayDreamコントローラーの進化版という感じだろうか.電池を入れると程よい重さと重心感が得られて悪くない握り心地.手が小さくても操作性は良さそうである.まあ,ゲーム無いんですが.
ちなみに分解はいじり防止つきのT6ネジで済ませる事ができる.ネジは浅いところにあるので,よくあるピット交換式でも問題なく開けられる.分解難易度低め.
技適は 201-170634
.FCCIDは 2ALLR-XCV01-CB
Guangdong Virtual Reality Technology Motion Controller XCV01-CB FCC ID 2ALLR-XCV01-CB
と内部の写真を並べてみた.重要なのはU1のnordic semiのnRF82832
とU2,U12だろうか.U2とU12がなにかはわからず.どっちかが加速度センサだと思うのだが・・・.
U2は「D9915 R633F」,U12ha「162 7FC9 AEC」とのマークあり.
nRF52832はBLEでよく見かけるが,電源をONにしても特にBLEデバイスらしき存在は確認できない.独自だろうが,自分はESBしか知らない.FCCのページを詳しく見れば書いてあるのだろうか・・・.
タッチパッドの制御は別基板で,タッチパッドの真裏に.MCUとはI2C接続のよう.ZT7528
とあるがどこのメーカーだろう.VIVEコントローラーで使われているのとは別物のようである.型番は検索してもebayで売っている人が見れる程度.
M1とモーターが載ったかもしれないパッドが見える.フレキのコネクタは本体基板と共々,「黒い部分を跳ね上げる」タイプである.衝撃で外れないようにコネクタ部分はカプトンテープが貼られていた.
テストパッドには律儀にシルクも書いてあるので,ひょっとすると好きなように書き込めるのかもしれない.加速度センサとタッチセンサの値が読めてArduinoで書き込めれば非常にハッピー・・・という幻想.
LED ドングル
HMDの前面についてピカピカ光るやつ.
技適は 201-170636
,FCCIDは 2ALLR-XCV01-LM
.
Guangdong Virtual Reality Technology Led Marker XCV01-LM FCC ID 2ALLR-XCV01-LM
こちらもネジはおなじくいじり防止つきのT6だが,奥まったところにあるのでピット交換式だと入らない可能性が高い.T6だといじり防止がついているドライバーはちょっと少ないので購入時は注意.
自分はDT-06というのを買いました.先端が届けばこちらも分解はすぐできる.
載っている回路は以下のよう.
- SMSC USB3300-EZK USB Device IC
- STMicro STM32F205 MCU
- nordic nRF52832
- RGB LEDx4(あとドライバ回路)
コントローラーに比べるともう少し複雑なことをしていそうな構成である.先の構成図の通り,位置トラッキングとしてのAPIはおそらく全てここで提供しているのでちょっと大掛かりなんだろう.
「CE6XI」とマークされているのは電源関係のICだろう.
ところでこちらには加速度センサの可能性がある部品は搭載していないような・・・?レイヤ分けをするとすると6DoF全部周辺機器に任せたい気もするのだが,ここだけHMD側と連携するなんてことある・・・?→HMDとLEDドングル接続して個別に動かしてみたところ,画面はHMDの回転に追従した.ドングルの回転はヨー軸回転のみのような・・・? 思ったよりは複雑.
USB接続
このLEDドングルはHMDとUSB接続するのだが,なんとそのままでも一応PCが反応する.
このあたりの知見は無いので,いずれ勉強したいところ.
ステレオカメラ
これは分解するにはガラスパネルを剥がさないと行けないタイプっぽかったのでひとまず見なかったことに・・・.
雰囲気で良ければFCCID.ioにありますので. ステレオマッチングをするためのFPGAかなにかが搭載されており,大変部品点数の多い基板となっている模様.無線SoCはだいぶ文字がボケてて見えないけどおそらく同じnRF82832かと.
こちらもUSB給電で動かすのでひょっとしたら? と思ってPCに差したが,特に反応せず.分解していないのでわからないのだが,もしかするとD+/D-は繋がれていない可能性が・・・?
まとめ
以上,周辺機器の分解でした.位置トラッキングに必要な通信等を全部パッケージにしたという感じだった.あとは映像を出せる機械があれば6DoFHMDの完成!という雰囲気が感じられ,これが普及しなかったことが余計悔やまれる.(追記)と思ったけど,HMD側にもちゃんと回転センサが入っていた.実はCardBoardの変な拡張なのかもしれない・・・・.
あ,基板やモジュール単位での工事設計認証は取ってないみたいなので,電源入れたいなら分解しないほうが懸命です.あるいは,2台買いましょう.
次回,HMD本体分解編.
3Dモデルとか売っているので投げ銭先替わりに貼っておきます. sporadic-e.booth.pm