HTC LINKを知ろう③ HMD本体分解編
前回前々回と引き続きHTC LINKの記事. 今回はHMD本体を分解します.
前回までで6DoFの要は詰め込まれていたことがわかったので,言うなればHMD本体はOLEDパネルだけっちゃだけのはず.
※こちらには無線回路が搭載されていません.本体にも刻印なし.
本体分解
本体(再掲)
実は本体の分解は非常に簡単.
ここのVOIDシールの下にあるネジを外し,白い外装と黒パーツの隙間にドライバーを挟んで内部のフックを外すように動かせば簡単に外れる.
ちなみに,周辺機器とは変わって,外装も後述する基板類も全てT5ネジである.こちらも,一部奥まったところにあるので,交換式だと届かない可能性がある.いじり防止は不要のようなので,自分は安いのを適当に買った.
...なお,分解をHMDのレンズ側から攻めるのは悪手である.
全く伝わる気がしないw のだが,組み立て手順として「目の周りを覆うプラスチック→筐体内部のフレーム→外装」まで組み立てたのパーツと,「基板→光学系」で組み立てたパーツをドッキングさせて最後に前面の黒パーツで閉じる流れになっている.目の周りを覆うプラスチックを無理に外そうとすると破壊的な破壊をしてしまうのだ.
また,LEDドングルを固定する部分は接着剤で固定されている.VOIDシール以外にもネジ止め箇所があるかと思い外したが,結果ネジはなかった.ネジ使いそうな穴が右側にも見える.USBポートの左に見える小さい穴は基板上のMCUの起動モードを変えるボタンのようなので,開けて損は無いだろう.
話は戻って,黒パーツを外すとメイン基板が丸見えになる.
外れた黒パーツ.変わった形をしていますね・・・.ヒートシンクとか載せる余地を残していたんだろうか?ちなみに動作中は結構熱くなる.
なるほど~~
- バッテリーでかくない? (これで2800mAh)
- 部品沢山(小並感)
- 基板の表面にパターンやビアが無い.周辺機器とは異なる雰囲気
- これは3万の風格出てますわ
で,LEDドングルと合わせたブロック図を作りました.
この図の接続構成はもちろん推測なんですが,まあ必然的にこうだろというのもあるし,以下のような挙動を示したことも関係している.
映像接続
PCに接続すると普通にモニターとして動く.接続先は,RTX2070のType-Cポート(というかこれも今は亡き変態規格VirtualLinkである・・・).
つまり Type-C DP-ALTで受けて,内部でHDMIに変換してDSI信号としてOLEDに渡している,というルートになりそうだ.
また,TIのTUSB564のページを見ると,どうType-Cの信号を分岐させるかが書いてある.
このあたりを参考にすると,必然的に接続関係は決まってくる.
USB接続
USB接続すると「USBハブが」増える.
USB5774はUSB3.1対応のようだが,実装は2.0 HSまでのようである.まあ速度いらないしねぇ.(ちなみにUSB5774はVIVEと共通部品である)
ハブの下には,電源ボタンやリセットボタンを操作すると状態が変わるデバイスが存在している.基板上にSTM32F412が載っているので,それがつながっていると思われる.
このF412,シリアルポートが空いている.115200bpsで通信できるようだ.が,\r
を送るとCMD>
と帰ってくる程度しかわからず.
といわけで,この親子関係を図に反映させれば良い.
その他IC
この基板は部品点数があまりにも多く,しかもそのほとんどが極小であり(これは3万の風格以下略)部品が特定できない.どこかに加速度センサーが載っているはずなのだけど・・・.
もっと分解
基板が固定されている黒いフレームの4隅のネジを外すと,白い外装から光学系ごと外すことができる.ちなみに,ここのネジが深い.
レンズはフレネルレンズで目新しさはない.丸棒でスライド機構が構成されている点は,VIVEとよく似ている.VIVEは反対側が送りネジ式になっているが,こちらはロック付きスライドつまみ.
なお,予め接続されているType-Cケーブルを外すには,
- この基板とフレーム部分を外した後に
- 基板とケーブル根本のネジを全部外し
- 基板を少し浮かせられる状態にする
ことで外せる.OLED用フレキシブル基板の根本は粘着テープで固定されており,破損しないように外すには注意が必要そうだったのでひとまず外さない方針で.ちなみに,フレキシブルケーブルの出方はVIVEとは異なるので,全く同じパーツということでもなさそうである.
他
白い筐体部分のプラスチックは(発売から3年経っているとしても)かなり割れやすい印象がある.インサートナットの周囲が割れていたり,ネジの受け側が簡単に割れてしまうなど耐久性は低そう.なんというか,内部の黒いフレームと白い外装で柔軟性が異なりすぎて接続部分にすごい負荷がかかっているみたいな感じ.
まとめ
光学系ごと外してみると,HMDというのは人様のためにバカでかいレンズと焦点距離等々を備えた装置なのだなぁということをしみじみと感じる.(それはスマホVRでも同じか)
とりあえず,色々いじりたい人は外装とケーブルが煩わしいのでこのあたりまで分解すると大きな破損なく手が出しやすい状態になるのではなかろうか.
全体的にそこまでVIVEと似ているわけではなく,Type-CとDP-Altmodeのために基板は新規設計しつつ実装コストは低めに・・・という感じのような印象.
2500円(+ドライバー)で分解できる機器としては面白いのではなかろうか.本体そのまま映像出力させて自作HMDにしても良いし,OLEDを外してなにか別のロボット等に持ち込んでも良いし,あらゆる意味でC/Pは高いのかもしれない.本来の使い方はできないに等しいが
解析・ソフトウエア系は気が向いたらいずれやります(あんまり知識無いので).
Useful Link
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